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SupermicroのBIOS更新で「BMC can't force ME to recovery mode」が出たときの対処法

SupermicroマザーボードのBIOS更新中に表示される「BMC can't force ME to recovery mode」エラーのイメージ

「BMC can't force ME to recovery mode」は、SupermicroのBIOS更新時に、BMCがIntel Management Engine(ME)をリカバリーモードへ移行させられなかったことを示すエラーです。対処方法はマザーボードの機種と更新条件によって異なり、この表示だけでBIOSの破損やBMCの故障は断定できません。

Supermicroの公式FAQには、次の対処例が掲載されています。

  • X11DAi: FAQ 27446では、AC電源を切り離してJPME2をピン2–3に設定し、BIOS更新成功後にピン1–2へ戻す手順を案内しています。
  • X10DRi-T4+: FAQ 32445には、Supermicro Update Manager(SUM)による帯域外(OOB)BIOS更新で正常動作に戻った事例が記載されています。

これらは全機種共通の手順ではありません。 作業前に型番・PCBリビジョン・更新前のBIOSバージョンを確認し、対象機種の公式手順と照合してください。機種によっては、ジャンパー設定の変更とSUM更新を組み合わせる場合もあります。

この記事では、適用する対処方法の選び方から、ジャンパー操作、SUMでの更新、更新後の動作確認までを手順に沿って解説します。

 BMCとMEの役割と

BMCとMEは、それぞれ次の役割を持っています。

用語 役割
BMC(Baseboard Management Controller) サーバーの状態監視や、遠隔での電源操作・ファームウェア管理を担う
ME(Intel Management Engine) プラットフォームの管理機能を担い、ファームウェア更新時にリカバリーモードへの移行が必要になる場合がある

エラーメッセージだけでは、どの更新条件や処理が問題になったかまでは特定できません。対処を選ぶには、マザーボードの型番、更新前のファームウェア、使用した更新方法を確認する必要があります。

対処前に確認すること

更新を再試行する前に、次の情報を記録してください。確認できない項目は「不明」で構いません。

確認項目 記録する内容
機種情報 マザーボードの型番・PCBリビジョン
更新内容 現在のBIOS・BMCバージョン、使用したBIOSファイルと更新ツール
現在の状態 OSの起動可否、画面出力、BMCへの接続可否
エラー メッセージ全文、発生した段階、更新ログ

OSが起動する場合は、必要なデータをバックアップし、起動順序やストレージ関連のBIOS設定も控えておきます。

書き込み中は、電源を切ったりジャンパーを操作したりしないでください。 更新処理が停止しているか判断できない場合は、電源操作の前にメーカーへ確認します。

まず確認:BIOSファイルと更新手順は機種に合っているか

使用するBIOSファイルが、対象マザーボード用であることを確認します。似た型番の製品用ファイルや、別機種の復旧事例に掲載されたファイルは流用しないでください。

同じ製品でも、PCBリビジョンや更新前のBIOSバージョンによって手順が変わる場合があります。例えば、SupermicroのX11DAi-Nに関する公式FAQでは、特定の旧BIOS間の更新について、基板リビジョンごとにジャンパー変更の要否や推奨する更新順序が示されています。この案内は、そのFAQに記載された条件に限られます。

更新パッケージのREADMEやリリースノートでは、次の点を確認してください。

  • 現在のBIOSから直接更新できるか、中間バージョンを経由する必要があるか。
  • BMCなど、関連ファームウェアに必要なバージョンが指定されているか。
  • 使用する更新ツールと実行環境が指定されているか。
  • 更新後に再起動やAC電源の切断が必要か。

BMCの更新が必要かどうかも、この段階で判断します。「最新版にすれば解決する」と考えず、対象機種で指定された組み合わせと更新順序に従いましょう。

以降は、公式FAQに記載された対処例です。すべてを順番に試すのではなく、自分の機種と症状に対応する手順を選んでください。

自分の機種に合う対処方法を選ぶ

以下の2つは、必ず順番に実行する手順ではありません。マザーボードの型番と公式資料を確認し、該当する方法へ進んでください。

対象・状況 進む手順
X11DAiで、公式FAQ 27446の適用を確認できる 対処例1:JPME2を変更して更新する
BMCに接続でき、対象機種の公式手順でSUM OOB更新が案内されている 対処例2:SUMで更新する
型番が不明、またはマニュアルとFAQのジャンパー設定が一致しない ジャンパーを操作する前にメーカーへ確認する

どちらの場合も、ファームウェアの書き込み中に電源を切らないでください。 以下の電源操作は、実行中の更新処理がないことを確認してから行います。

対処例1:X11DAiでJPME2を変更してBIOSを更新する

Supermicro公式FAQ 27446では、X11DAiでこのエラーが出た場合、JPME2をピン2–3へ変更し、BIOS更新後にピン1–2へ戻す方法が案内されています。以下は、このFAQの適用を確認できる機種向けの手順です。

手順1:BIOSファイルと更新手順を用意する

電源を切る前に、次の3点をそろえます。

  • 対象マザーボードのマニュアル。
  • 対象機種用のBIOS更新パッケージ。
  • 更新パッケージに付属するREADMEなどの手順書。

使用する更新ツールと実行方法まで確認してから、次へ進みます。FAQ 27446には、具体的なBIOS書き込みコマンドは記載されていません。使用するツールと実行方法は、対象機種のBIOS更新パッケージに付属する手順書で確認してください。

手順2:シャットダウンし、電源コードを抜く

OSが起動している場合は、正常にシャットダウンします。その後、AC電源コードを抜いてください。冗長電源を搭載している場合は、すべての電源コードを抜きます。

本体の電源ボタンを押すだけでは、AC電源を切り離したことにはなりません。マニュアルに記載された電源切断後の待機・作業手順に従います。

手順3:JPME2の位置とピン番号を確認する

マニュアルの基板図と、実機の「JPME2」という表示を照合します。FAQではPCI-Eスロット1付近と案内されていますが、位置だけで判断せず、ジャンパー名とピン番号を確認してください。

キャップを動かす前に、元の位置を写真に残しておくと、戻す際に確認できます。

JPME2やピン1の位置を特定できない場合は、ここで作業を止めます。

手順4:キャップをピン2–3へ差し替える

SupermicroマザーボードのJPME2ジャンパーをピン1–2からピン2–3へ変更する手順のイメージ

ジャンパーキャップを、ピン2とピン3を接続する位置へ差し替えます。

状態 このFAQで指定されている位置
BIOS更新時 ピン2–3
更新成功後の通常設定 ピン1–2

この表はピン番号の組み合わせを示すもので、基板上の左右方向を示すものではありません。

手順5:電源を接続し、BIOSを更新する

作業に必要な状態へ組み戻してからAC電源を接続し、手順1で確認した方法でBIOS更新を実行します。

更新ツールが完了を通知し、指定された再起動などが終了するまで待ってください。途中で同じエラーが出た場合は、メッセージとログを保存し、別機種のコマンドや設定を追加して再試行しないようにします。

手順6:更新成功後、キャップをピン1–2へ戻す

BIOS更新が成功したら、再びシステムを停止してAC電源コードをすべて抜きます。電源切断後の手順に従い、JPME2のキャップをピン1–2へ戻してください。

電源を再接続して起動し、次の2点を確認します。

  • BIOSセットアップに更新先のバージョンが表示される。
  • POSTが完了し、OSを使用する構成ではOSが起動する。

ジャンパーを更新用の位置に残したまま、通常運用へ戻さないでください。

対処例2:BMCに接続できる場合はSUMでOOB更新する

Supermicro公式FAQには、X10DRi-T4+でSUMによる更新後に正常動作した事例と、別のX10系の事例でSUM OOB更新を推奨する案内があります。対象機種でこの方法が利用できることを確認してから進めてください。

Supermicro Update Manager(SUM)を使用してBMC経由でBIOSをリモート更新するイメージ

手順1:管理用コンピューターからBMCに接続する

管理用コンピューターのブラウザーで対象サーバーのBMC管理画面を開き、ログインできるか確認します。

ここで使用するのは、OS側のIPアドレスではなく、BMCのIPアドレスです。管理画面で機種情報も確認し、更新するサーバーを取り違えていないことを確かめます。

接続できない場合は、先にBMCのネットワーク接続や認証情報を確認してください。

手順2:SUM・BIOSファイル・ライセンスを確認する

管理用コンピューターに、対象機種と実行環境に対応するSUMを用意します。BIOSファイルも対象マザーボード用のものをダウンロードし、圧縮ファイルの場合は説明書に従って展開します。

次に、OOBのBIOS更新に必要なライセンスが有効か確認します。Supermicro公式FAQでは、OOB機能の利用にSFT-OOB-LICなどのライセンスが必要な例が案内されています。

ライセンスエラーが出る場合は、まずその条件を解決します。MEのエラーを直すためにジャンパーを変更しても、ライセンス不足への対応にはなりません。

手順3:ジャンパー変更が必要か確認する

SUMを実行する前に、対象機種の公式手順でジャンパー変更が指定されているか確認します。

FAQ 37549にはJPME2を「open」にする案内がありますが、この設定をX10系全体に適用することはできません。 実機のマニュアルと一致することを確認し、変更が必要な場合のみ、システム停止とAC電源切断を行ってから作業します。

マニュアルとFAQが食い違う場合は、キャップを外したり、ピン2–3へ差し替えたりせず、メーカーへ確認してください。

手順4:SUMの更新コマンドを準備する

以下は、FAQ 32445の実行例をもとにしたLinux版SUMの基本形です。そのまま実行せず、各値を自分の環境に置き換え、使用するSUMの説明書で構文を確認してください。

置き換える項目 指定する内容
<BMC_IP> 更新対象サーバーのBMC IPアドレス
<BMC_USER> 更新権限のあるBMCユーザー名
<BMC_PASSWORD> そのユーザーのパスワード
<BIOS_FILE_PATH> 展開した対象BIOSイメージのパス

< >は説明用の記号なので、実行時には含めません。パスに空白がある場合や、パスワードにシェルの特殊文字がある場合は、使用環境に合った引用・認証方法が必要です。また、-pで指定したパスワードは履歴やプロセス情報に残る可能性があるため、利用するSUMで対応している認証方法も確認してください。

このコマンドは実際にBIOSを書き換えます。保守時間を確保し、接続先とファイルを再確認してから実行します。--force_updateなどの追加オプションは、対象機種の公式手順で指定されている場合に限って使用してください。

手順5:更新結果を確認し、指示された再起動を行う

実行後はログを確認し、処理が完了するまで電源を切らずに待ちます。

FAQ 32445の成功例では、BIOSの更新完了に続いて、変更を反映するために再起動または電源投入が必要である旨が表示されています。使用するSUMの出力と、対象機種の手順に従って操作してください。

エラーが出た場合は、次のように対応を分けます。

結果 次に行うこと
接続・認証エラー BMCのIPアドレス、接続状態、認証情報を確認する
ライセンスエラー 必要なライセンスの有効化を確認する
同じME関連エラー ログを保存し、対象機種の手順と実施内容をメーカーへ伝える
更新成功・再起動要求 表示された指示と機種別手順に従って再起動する

手順6:ジャンパーと起動状態を確認する

ジャンパーを変更した場合は、指定されたタイミングでシステムを停止し、AC電源を切り離してから通常設定へ戻します。

最後に、BIOSバージョン、POST、必要に応じたOSの起動、BMCへの接続を確認します。進捗が100%になっただけで完了とせず、更新先のバージョンと正常な起動を確認してから、運用を再開してください。

更新後に確認すること

更新ツールの進捗が100%になっただけでは、正常に完了したとは判断できません。指定された更新処理と再起動を終え、変更したジャンパーを所定の手順で通常設定へ戻してから、次を確認します。

確認項目 確認する内容
BIOSバージョン BIOSセットアップに更新先のバージョンが表示される
起動状態 POSTが完了し、OSを使用する構成ではOSが起動する
BIOS設定 起動順序やストレージ関連の設定が、運用に必要な状態になっている
BMC 管理画面に接続でき、センサー情報を取得できる
イベントログ 更新後に新たな異常が記録されていない

ME・BMCにバージョンの指定がある場合は、その条件も確認してください。BIOS更新によって、BMCのバージョンも必ず変わるわけではありません。

確認が完了してから通常運用へ戻し、更新ログと最終的なバージョン情報を保存しておきましょう。

解決しない場合はメーカーへ相談する

同じエラーが続く場合や、マニュアルとFAQのジャンパー設定が一致しない場合は、追加の書き込みや設定変更を行う前に、メーカーまたは保守窓口へ相談してください。

問い合わせには、「対処前に確認すること」で記録した情報に加え、次の内容を添えます。

  • 実行した手順と、エラーが発生したステップ。
  • 電源操作・ジャンパー変更の内容と、現在のジャンパー位置。
  • 最新の更新ログと、確認できる場合はPOSTコード。
  • 現在の起動状態と、BMCへの接続可否。

確認できない項目は「不明」として伝えて構いません。情報を集めるために、失敗した更新を繰り返す必要はありません。

まとめ

「BMC can't force ME to recovery mode」が出た場合は、まず型番・PCBリビジョンと更新条件を確認します。そのうえで、対象機種に対応するJPME2の設定変更やSUM OOB更新を行ってください。

作業は、BIOSの書き込みだけでは終わりません。変更したジャンパーを通常設定へ戻し、更新先のバージョンと正常な起動を確認するところまで実施しましょう。

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